せいちゃんのブログ

雑記ブログとして日々の出来事、風潮、自己体験をもとに防犯や詐欺対策、リフォーム、年金問題、株投資などについての有益情報と考えたことをご紹介していきたい。

確定申告|株式等運用で儲けた時の確定申告による節税方法と事例解説

確定申告には、株式等運用にかかる高い税金を節税するしくみとして分離課税方式と総合課税方式が用意されています! 

 

分離課税方式は、運用益と配当併せて儲かった場合にその利益を圧縮するために、他に損となった口座や過去の繰越控除(損)など損益通算して利益を圧縮して節税する方法です。 

 

総合課税方式は、取引の損益には触れず、配当のみに焦点を当て、「配当所得」を「給与等所得」に合算して総所得として累進所得税率の適用を受けて「所得控除」を受ける節税方法です。 

 

このように、株で儲けた場合も、確定申告で節税できるチャンスがあります。当記事では、株で儲けた場合の確定申告による節税方法を整理しました。

 

  

 

 

Ⅰ.株等の取引で儲かった場合の確定申告による節税方法

1.株式等の運用(利益・配当)には高い税金がかかる

株で儲かった場合、株取引での利益に20%(所得税15%+住民税)の税金が徴収されています。さらに、配当にも、同率の税金がかかります。

 

課税対象 所得税 住民税
上場株式の 利益・配当 15.315% (0.315%は復興税)  5% 20.315%

 

従って、株で儲かった場合は、高い税金が源泉徴収された状態にあります。 

 

以下では、全て、特別口座で源泉徴収選択を前提として説明します。 

 

所得の高い人ならいざ知らず、一般会社員や年金受給者も低金利時代の中で、資産運用を株式投資などに注力せざるを得ない中で20%の税率は余りに高いものとなっています。

 

2.確定申告には「総合課税方式」「分離課税方式」による節税の仕組みが用意されている

確定申告には、株式運用に伴う高い税金を節税できる仕組みとして、損益通算で利益圧縮できる「分離課税方式」や、配当を給与所得と同等扱いにし配当控除が受けられる「総合課税方式」という2つの課税方式が用意されています。

1)分離課税方式:損益通算による利益圧縮で節税できる仕組み

分離課税方式は、「株式売買で被った損失」と「他の利益や配当など」と損益通算して利益を圧縮し税軽減ができる仕組みです。

2)総合課税方式:配当を給与等に合算し給与等の所得税率が適用できる仕組み

配当を給与等の所得と同扱いとし、給与等と合算した総所得に給与等の所得税率(累進税率)を適用し、「※配当控除」の税額控除が受けられ、税軽減ができる仕組みです。 

 

配当は、企業が法人税を既に支払済の原資であるため、配当に更に税を課しているのは二重課税になります。

 

このため、配当を給与等と同取り扱いにした上で「配当控除」を適用して二重課税を解消するというものです。 

 

以上の2方式のいずれかを利用して株式等の運用に伴う税金の節税が図れることになります!

 

3.確定申告は、損した場合だけでなく儲けた場合も節税できる仕組みです

株取引で損した場合には、「分離課税方式」を使って、儲けた他口座との損益通算や、次年度以降の儲けが圧縮できる繰越控除にするなどの節税対策がとれます。 

 

しかし、株取引で儲けた場合にも、「分離課税方式」を使って、損した他口座との損益通算や過去の損(繰越控除)との損益通算で利益圧縮して節税することができます。 

 

また、そういったものがない場合には、「総合課税方式」を使い配当を給与所得等に合算して給与等の所得税率を適用する「配当控除」により節税することもできます。

 

 

Ⅱ.株で儲かった場合の確定申告による節税方法

株で儲かった場合の年度末の株式口座(特定口座で源泉徴収選択とします)の状況は、「株取引は益となり配当を含めて黒字となった」となっています。 

 

そのような口座状況で、株式運用にかかった高い税金を取り戻すには、確定申告の仕組みを使って申告する必要があります。

 

1.儲かった場合の確定申告による3つの節税方法

以下の3方法があります。

1)損となった別口座と損益通算(利益圧縮)して税を軽減する

他の証券会社に口座があり、配当を加えても赤字であれば、その赤字と損益通算して利益を圧縮し税金を戻してもらう。(「分離課税方式」による確定申告)

 

2)今年度の利益(含む配当)と過去の繰越損と相殺(益の圧縮)して税を軽減する

他の口座との相殺を経ても黒字が残った場合、過去の「繰越控除」があれば、それと損益通算(利益圧縮)し税金を戻してもらう。(「分離課税方式」による確定申告)

 

3)株取引には触れず、配当を給与等所得に合算し給与所得税率を適用した上で配当控除を受けて配当に掛った税を軽減する

他に相殺すべき口座や過去の繰越控除が無い場合、株取引の損益には一切触れず、「配当所得」を「給与所得等」に合算して累進所得税率を適用し「配当控除」を受けて税金を戻してもらう。(「総合課税方式」による確定申告) 

 

なお、「総合課税方式」の選択は、他に相殺すべき口座や過去の繰越控除があっても、分離課税方式による節税効果が低ければ、株取引の損益には一切触れず済む「総合課税方式」を選択することになります。

 

2.3つの節税方法を数字を使って具体的に解説

上述の「儲かった場合の確定申告による3つの節税方法」の各方法を、数字を使って事例かしてみました。ご参考になれば、幸いです。

 

1)損となった別口座と損益通算して税を軽減する方法

複数の口座を持っていて、一部の口座で損(配当を含めても)が出ている場合、適当な口座間で「損益通算(利益圧縮)」の申告をすれば税還付が受けられます。 

 

なお、あくまでも損に見合う口座を選んでその口座の益を減らせば良いのです。(すべての口座を取り上げる必要はありませんので、ご注意を!) 

 

ここでは、2つ証券会社(A社、B社)で特定口座を持っていて、それぞれの口座の年間取引結果が下記の3ケース(損失の大きさを変えて比較する為です!)を想定して、損益通算による節税方法をご紹介します。 

 

<ケースⅠ>

 

口座名 損益と配当収入及び支払った所得税合計額
A口座 利益200万円配当45万円益合計245万円源泉徴収税38万円
B口座 損失100万円配当45万円損合計55万円源泉徴収税 0円

A口座では、所得合計が245万円(200+45)で所得税38万円が源泉徴収されている。
B口座では、損合計が-55万円(-100+45)で所得税0で納めていない。
二つの口座を損益通算すると、所得合計は190万円(245-55)であり、これに株取引所得税15.32%を乗じると29万円となる。
従って、実際に負担すべき所得税が29万円となり、既に38万円を納付しているので、9万円(38-29)が還付されます。

 

 

<ケースⅡ>

 

口座名 損益と配当収入及び支払った所得税合計額
A口座 利益200万円配当45万円益合計245万円源泉徴収税38万円
B口座 損失200万円配当45万円損合計155万円源泉徴収税 0円

A口座では、所得合計が245万円(200+45)で所得税38万円が源泉徴収されている。
B口座では、損合計が-155万円(-200+45)で所得税0で納めていない。
この二つの口座を損益通算すると、所得合計は90万円(245-55)であり、これに株取引所得税15.32%を乗じると14万円となる。
従って、実際に負担すべき所得税14万円となり、既に38万円を納付しているので、24万円(38-14)が還付されます。

 

 

<ケースⅢ>

 

口座名 損益と配当収入及び支払った所得税合計額
A口座 利益400万円配当45万円益合計445万円源泉徴収税68万円
B口座 損失300万円配当45万円損合計255万円源泉徴収は 0円

A口座では、所得合計が445万円(400+45)で所得税68万円が源泉徴収されている。
B口座では、損合計が-255万円(-300+45)で所得税0で納めていない。
二つの口座を合計して損益通算すると、所得合計は190万円(245-55)であり、これに株取引所得税15.32%を乗じると29万円となります。
従って、実際に負担すべき所得税29万円となり、既に68万円を納付しているので、39万円(68-29)が還付されます。

 

以上の様に、損失額が大きいほど税軽減効果は大きくなります。 

 

ここでは、損失を超える利益(含む配当)がある場合を想定しましたが、利益が足りなければ、損は、「繰越控除」として翌年以降に持ち越せます。

 

なお、この場合、住民税に注意!(重要)が必要です!

 

確定申告を「分離課税方式」で申告し、そのままにしておくと、株に掛けられた住民税5%分の還付も受けられますが、次年度の住民税の算定基礎に、損益通算後の株式所得(譲渡損益+配当)が含まれるので、益が大きく残ると住民税の負担が大きくなる可能性があるので注意が必要です。 

 

このため、口座間で損益通算する場合は、益が大きく残らないよう、益の小さい口座との損益通算に限定して申告しましょう。 

 

結局は、住民税については、還付金の大きさと住民税等への負担増の大きさ等の比較から判断しなければならないところがあり、住民税への影響が大きければ、見合わせることも必要です。

(住民税での還付金の大きさと、翌年の住民税負担の大きさを比較する必要があります)  

 

 

2)今年度の利益(含む配当)と過去の繰越損と相殺して税を軽減する方法

過去に損が出て確定申告で繰越控除(3年間を限度として損を繰り越せる制度)の申告をしている場合、本年度の利益(含む配当)と繰越控除とを相殺して、本年度の利益に対して源泉徴収された所得税の還付を受けるのが目的です。 

 

あくまでも繰越損に見合う口座を選んでその口座の益を減らせば良いのです。

(すべての口座を取り上げる必要はありませんので、ご注意を!   

 

<ケースⅠ>繰越控除の有効分(3年以内)が110万円がある場合

 

本年度の利益400万円配当90万円合計が490万円所得税75万円源泉徴収
繰越控除の有効分(3年以内)110万円と損益通算すると、本年の利益は、380万円(490-110)に圧縮、これに所得税率15.32%を乗じると納めるべき税金は、58万円となる。
従って、既に源泉徴収された75万円から17万円(75-58)が還付される

  

 

<ケースⅡ>繰越控除の有効分(3年以内)が310万円ある場合

 

本年度収益は、利益400万円配当90万円合計が490万円となり所得税75万円源泉徴収されている。
繰越控除には有効分(3年以内)310万円があるので、これと損益通算すると、本年の収益は、180万円(490-310)に圧縮でき、これに本来の所得税率15.32%を乗じると納めるべき税金は、28万円でいいことになる。
従って、既に源泉徴収された75万円から47万円(75-28)が税軽減分として還付されることになります。
 
なお、住民税に注意が必要です!(重要)

 

確定申告を分離課税方式で申告し、そのままにしておくと、株に掛けられた住民税5%分の還付も受けられますが、次年度の住民税の算定基礎に、損益通算後の株式所得(譲渡損益+配当)が含まれるので、益が大きく残ると住民税の負担が大きくなる可能性があるので注意が必要です。 

 

くれぐれも、損益通算して益が大きく残る場合は総合課税方式にするかの選択が必要です。 

 

なお、「住民税の申告不要制度」は廃止になり、住民税は確定申告の課税方式に沿った扱いにになります!

 

3)株取引には触れず、総額課税方式により、配当を給与等所得に算入し配当控除を受ける方法

「年間の株取引結果は、大きな利益がでた」、あるいは、「損益通算による還付金メリットよりも総額課税方式による配当控除のメリットの方が大きい」等の場合、配当に限定して節税できる仕組みが「総合課税方式」です。

 

(1)「総合課税方式」による税計算

税額の計算は、下の算式のようになります。 

 

配当を「配当所得」として「給与等の所得」と合算した上で、社会保険料基礎控除等の「所得控除」を差し引いた金額(「課税所得」という)に、その「課税所得」水準に該当する「累進所得税」を乗じて「所得税額」(「確定前の所得税」という)を算出します。 

 

その「確定前の所得税」から「配当控除(配当の10.00%の金額)」が「税額控除」され実負担となる「確定所得税」が算定されます。

 

算式(①→②)

 

①{(給与等の所得+配当所得)- 社会保険等の所得控除累進所得税=確定前の所得税
② 確定前の所得税 - 配当控除(配当金額の10%分)   =確定所得税

 

この計算の流れを分解すると下表の①から⑤の流れとなります。

 

順序 求める額 計算式
「総所得額」 「給与または年金所得」+「配当所得」
「課税対象額」 「総所得額」-「社会保険料等の所得控除額」
所得税額」 「課税対象額」× 所得税率(累進税率)
「最終の税額」 所得税額」-「配当控除額」
「還付額」 源泉徴収された給与・年金所得の納税額と配当の納税額」-「最終の税額」

「配当控除額」は、配当所得の10.00%(参考:住民税の配当控除は2.8%)

 

(2)総合課税は、課税所得が900万円以下の方にメリット大で低所得ほどメリットが大きい

給与等の所得税は、「累進税率」であるため、「配当控除」によるメリットが享受できるのは、下表の通り、課税所得900万円以下の方となります。その中でも、低所得で配当所得の割合が高いほど配当控除のメリットが大きくなります。 

 

なお、総合課税では全ての所得が合算されるため、給与や年金の他に、不動産家賃収入、事業所得、株式・建物・土地を除く譲渡所得、一時所得等があると、その分メリットが少なくなります。 

 

 

[Ⅰ表 課税所得額別に見た配当控除による減税効果] 

 

表で使われている各用語の意味は次の通りです。 

 

・「所得税率」は、課税所得額(給与等所得+配当所得)に対応した累進課税

・「配当控除率」は、「配当控除額」の算定に用いられる率。1000万円までは10%、1800万円までは5%、1800万以上は0%を配当所得に乗じて配当控除額をだします。 

・「実質負担率」は、所得税率が、配当控除率分の負担減になった実質負担率を表す 

・「源泉徴収率」は、配当で源泉徴収された税率を表す 

・「軽減税率」は、配当控除により源泉徴収された税率がいくら軽くなるかを示す率! 

 

また、「配当控除額」は、住民税分を含めると配当所得の10.28%となりますが、ここは、所得税分のみです。

 

なお、投信等の元本取り崩しによる分配金の場合の「配当控除額」は、低くなります。

 

課税所得金額 所得税 配当控除率 実質負担税率 源泉徴収税率 軽減税率
(所得‐所得控除) 累進税率 配当に乗じる   既に徴収済み 還付率
(A) (B) (C)=A-B (D) C-D
195万円以下 5% ▲10% 0% 15% ▲15%
330万円以下 10% ▲10% 0% 15% ▲15%
695万円以下 20% ▲10% 10% 15% ▲5%
900万円以下 23% ▲10% 13% 15% ▲2%
1000万円以下 33% ▲10% 23% 15% 8%追徴
1800万円以下 33% ▲5% 28% 15% 13%追徴

 

源泉徴収税率には復興特別所得税0.315%がありますが省略しました。 

  

なお、「所得」は、「給与等所得+配当所得」であり、「所得税率」は給与等と配当の両方にかかります。 

 

そこに、配当には10%の控除率が適用となるので、「累進税率」は、その分負担軽減となります。 

 

これらを、下表の通り、算式を使って、整理すると、結局、配当には累進税率ー10%の税率でよいことになり、既に支払った15%の源泉徴収は、その分還付されることになります。

 

配当を給与等に加算し配当控除を受けた場合のメリットを算式の整理にて表します。

①元々の所得税:給与等所得×累進税率
②配当算入後の所得税:(給与等所得+配当所得)×累進税率Aー(配当所得×※10%)

なお、配当を加算することで累進税率を累進税率Aとしましたが、下表(課税所得額と累進税率)から、累進税率が変わるのは200万円位の加算を要します。

また、累進税率を乗じる前に社会保険料等の所得控除が実際にはありますが、割愛します。

従って、基本的には累進税率はかわらないとして説明します。


10%:配当控除率で「配当控除額」の算定に用いられる率。
1000万円までは10%、


まず、②の算式(給与等所得+配当所得)×累進税率ー(配当所得×10%)を並び変えると、
右の様になります。 (給与等所得×累進税率)+(配当所得×累進税率)ー(配当所得×10%)
ここで配当算入で税金に影響する部分は、
(配当所得×累進税率)ー(配当所得×10%B)の部分。
この式を整理すると右の様になります。 「配当所得×(累進税率ー10%」


以上から、配当所得に課される税金は、累進税率より10%を差し引いた率で良いことになります。
しかし、配当には既に15%の所得税(他に5%の住民税)が源泉徴収されています。
従って、確定申告すると、払い過ぎた金額が還付されます。


<計算例>

◯給与所得が700万円で累進税率が20%、配当が50万円であった場合

配当にかかる税金は、50万円×(20%-10%)=5万円でよいことになるが、既に15%の所得税(他に5%の住民税)として7.5万円が徴
取されているので、確定申告で1.5万円が還付される。

◯給与所得が400万円で累進税率が10%、配当が50万円であった場合

配当にかかる税金は、50万円×(10%-10%)=0円でよいことになるが、既に15%の所得税(他に5%の住民税)として7.5万円が徴取されているので、確定申告で7.5万円が還付される。

◯給与所得が300万円で累進税率が5%、配当が50万円であった場合

配当にかかる税金は、50万円×(5%-10%)=0円でよいことになるが、既に15%の所得税(他に5%の住民税)として7.5万円が徴取されているので、確定申告で7.5万円が還付される。

[結 論:課税所得900万円以下で低所得ほどメリット大!]

 

・給料や年金、その他所得等に配当を含めた課税所得が900万円以上の場合はメリットがないが、695万円以下の人にメリット(税軽減)が得られる。

・695万円以下でも、合算所得が低いほどメリットが大きく、かつ配当所得の比率が高いほどメリットが大きくなる。
 
(3)数字を使った「還付金額」算出
◯事例1
年金生活者で、年金310万円と配当90万円あわせた収入が400万円、両方で源泉徴収された所得税が22.4万円のケース

[申告データー]

①年金収入が310万円で、年金で源泉徴収された所得税は6.6万円、株式の配当は総額で90万円で所得税13.8万円が源泉徴収された。

②確定申告のため整理したところ、年度末での社会保険料控除額、生命保険料控除額、配偶者控除額、基礎控除額など所得控除額額は、合計で130万円となった。

源泉徴収ありの特定口座」で運用)

 

「還付金額算出のシミレーション」

 

年収は、年金310万円と配当90万円合わせた400万円ですが、所得にすると、年金所得が190万円、配当所得が90万円で「合計所得」280万円となります。

ここから社会保険等の「所得控除額額」130万円を差し引くと、「課税所得」は、280∸130より150万円となります。

この課税所得150万円に所得税率5%(上述Ⅰ表の195万円以下に該当)を乗じた7.5万円が所得税となります。

ここから「配当控除額」が税額控除されて「最終の所得税」が確定されます。

「配当控除額」は、配当の10%額ですから9万円(90万円×10%)となります。

従って、「確定所得税」は、「-2万円」(7.5万円ー9万円)となりますが、国から税金を徴収するわけにはいかないので「0円」、つまり税の納入は不要となります。

このため、源泉徴収された所得税が、年金分と配当分合わせて「20.4万円」ありますので、これが還付の対象となり「還付金20万円」が還付されます。」

 

 

  これを表を使って表すと下表のようになりますの単位 万円

 

  収入 所得 所得控除 課税所得 確定課税 配当控除 申告課税 源泉徴収 還付
年金 310 190 130 60 5.0%       6.6  
配当 90 90   90 15.3%       13.784  
合計   400 280 130 150 ④ 5.0% 7.5 9.0 -1.5 20.384 20.384

 

[表の説明] 

 

年金と配当所得の合計280万円(①)から所得控除130万円(②)を差し引いて課税所得150万円(③)を求め、所得税率(課税所得額ランク別Ⅰ表)の5%(④)を乗じて課税額7.5万円(⑤)を確定します。 

 

そして、この税額から配当控除額(配当90万円×10%=⑥9万円)を税額控除し申告する課税額(⑦‐1.5万円)が確定します。

 

ここでは「‐1.5万円」となっていますが、税金を徴収するわけにはいきませんので「0」とカウントされます。 

 

そして「税金が0でいいにも関わらず源泉徴収された所得税が、年金分と配当分合わせて「⑧20.384万円」ありますので、これが還付の対象となり「⑨還付金20万円」が還付されます。」  

 

 

(4)総合課税方式による「住民税」への影響に注意が必要!

○住民税で総合課税方式の配当控除を受けると負担増に繋がるので注意が必要です

下表の通り、住民税の給与等所得に対する税率は「10%」であることから、住民税の配当控除「2.8%」の適用を受けても、実質「7.2%」の税率となるので、配当で源泉徴収された「5%」よりかえって負担増となります。 

 

[Ⅱ表 住民税:課税所得額ランク別に見た配当控除の減税効果]

 

課税所得金額 住民税率 配当控除率 実質の負担税率 源泉徴収税率 税軽減効果
(A) (B) (C)=A-B (D) C-D
1000万円以下 10% 2.8% 7.2% 5% 2.2%追徴

 

また、配当込みの課税所得が、次年度の住民税算定基礎(所得割)に適用され負担増になります。(住民税は昨年度の所得を基礎にするため) 

 

さらに、住民税の課税所得を基準とする国民健康保険料、介護保険料、児童手当等の負担増にも繋がります。

 

○実際に数字を使った住民税のシミレーション

先程の事例で住民税でも総合課税だと下表のようになります。(金額の単位 万円)

 

  収入 所得 所得控除 課税対象所得 税率 確定課税額 配当控除額 申告課税額 源泉徴収税額 追徴金
年金 310 190 117 73 10.0%       7.3  
配当 90 90   90 5.0%       4.5  
合計 400 ① 280 ② 117 ③ 163 ④ 10.0% ⑤ 16.3 ⑥ 2.5 ⑦ 13.8 ⑧ 11.8 ⑨ 2.0

 

年金と配当所得の合計280万円(①)から、所得控除117万円(②)を差し引いて課税対象所得163万円(③)を求め、住民税率の10%(④)を乗じて課税額16.3万円(⑤)を確定します。 

 

この税額から配当控除額2.5万円(⑥配当90万円×2.8%)を税額控除し、申告する課税額13.8万円(⑦)が確定します。 

 

しかし、源泉徴収された住民税が、年金分と配当分合わせて11.8万円(⑧)なので、申告の課税額13.8万円(⑦)に対し2.0万円(⑨)の不足が生じ、追徴されることになります。 

 

Ⅲ.最後に

株で儲けた場合も、確定申告で高い税金の節税が大抵の場合はできます。 

 

確定申告方法には、「総合課税方式」と「分離課税方式」がありますが、どちらが税軽減に有利であるかは、およその見当はつくものの、住民税や住民税をもとに決定される介護保険料その他への影響も十分考慮する必要があります。 

 

微妙な場合や、節税の大きさを確認するためには、e-tax」が重宝なツールとなります。

 

是非、儲かった場合も、e-tax」を使って節税方法がないかチェックされることをおすすめします。

ーーーーーーー完ーーーーーーーー

関連記事

風水害や盗難等による損害は確定申告で税軽減措置が受けられます!

風水害や盗難、横領などで損害を受けた場合、確定申告で所得税等の軽減措置が受けられます! 

 

台風や豪雨などの災害で被害を受けた場合、火災保険の保険金ばかり気をとられますが、確定申告の「雑損控除」で、所得税や住民税、固定資産税等で損害に見合った税の軽減措置が受けられます。

 

 

 

Ⅰ.災害や盗難等の損害には税の軽減が受けられる!

1.災害や盗難等の損害に対する軽減措置がある税目

1)日本の税(国税地方税)の構成

税金には「国税」と「地方税」があり、下表のような構成になっています。

課税主体 税金名
国税 所得税法人税相続税贈与税、消費税、自動車重量税など
地方税 住民税、事業税、固定資産税、地方消費税自動車税など

 

2)災害や盗難等の損害に対する税軽減措置がある税項目

 

この中で、地震、風水害、火災などで損害を受けた場合には、以下の様な税軽減措置があります。

課税主体 軽減措置が受けられる税金名
国税 所得税
地方税 「住民税」、「固定資産税」

 

2.所得税の軽減措置には「雑損控除」と「災害減免法」によるものとがある

 

地震、火災、風水害などの災害によって、住宅や家財などに損害を受けたときは、次の2つの所得税軽減措置がある。

 

1)「雑損控除」による税軽減を受ける方法 

2)「災害減免法」の適用による「税額控除」を受ける方法 

 

つまり、風水害等で被った損害は、確定申告でどちらか有利な方法を選ぶことによって、所得税の全部又は一部が軽減されます。 

 

なお、所得1,000万円以上の人は「災害減免法」の適用外となるため選択肢は「雑損控除」しかありません。

 

1)「雑損控除」による税軽減措置とは

「災害」や「盗難」などで自宅や家財などに損害を被った場合、損害補償として受け取った火災保険金などを差し引いた「実質損失額」に当たる部分を「雑損控除」として、他の「社会保険控除」などと同様に「所得控除」が受けられます。 

 

なお、損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以後(3年間が限度)に繰り越して、各年の所得金額から控除することができます。

 

[雑損控除金額の計算方法]

次の2通りあり、いずれかの大きい方が適用される。

 

ィ.(損失額-民間保険の保険金)- 所得の10%の金額=「雑損控除金額」
説明 失額より民間保険の保険金を差し引き損失額を出し、所得の10%の金額(免責部分)を差し引いた金額を「雑損控除金額」とする方法です。

なお、損失額は、自宅や車など資産ごとに算出する。(生活に通常必要でない資産は対象外

また、自宅の場合、「取得価額が判っている場合の損失額」は、時間の経過による減価を差し引いた時価に「被害割合」(100%、50%など)をかけた金額する。

「取得価額がわからない場合の損失額」は、総床面積に対する工事費用(国税庁発表都道府県別㎡当たり工事費用による)に「被害割合」をかけた金額を損失額とします。


なお、「被害割合」は、災害時に自治体に申請して交付を受けた「罹災証明書」に記載の「全壊」「大規模半壊」「半壊」「半壊に至らず」の4区分により国税庁の定める比率「%」を用います。
(詳細については「国税庁の被害割合表」をご覧ください。)
ロ.「災害関連支出-5万円」=「雑損控除金額」とする方法
説明 「災害関連支出」とは、損壊した自宅の修復費用や自宅内に流れ込んだゴミや土砂などの撤去費用など。

 

2)「災害減免法」による税軽減措置とは

 

所得1,000万円以下の者が、災害で住宅等に損害を受け「住宅や家財の損害額が時価の二分の一を超える場合」に、下記の「所得に応じた免除割合」が適用された金額が「税額控除」されます。 

 

なお、この場合は、「雑損控除」は受けられません。 

 

この措置の場合、損害が時価の5割以上で、所得が500万円以下であれば、所得税全額が還付されるということです!

 

[所得に応じた免除割合]
所得 所得税免除割合
500万円以下 所得税の全額免除
500万円を超え750万円以下 所得税の50%免除
750万円を超え1,000万円以下 所得税の25%免除

 

留意すべきは、「災害減免法」では、直接的に税金免除が受けられるので、本人の所得水準や被害状況と免除割合によっては、「雑損控除」よりも軽減効果が大きくなる可能性があります。

 

 

なお、災害減免法の適用は災害の年の1年だけとなるので、損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合は、最大3年間繰り越しができる雑損控除を選択する方が有利となります。 

 

なお、この制度は、所得1000万円以上の人は、適用外となりますので注意が必要です! 

 

※給与所得者が「災害減免法」により所得税の徴収猶予や還付を既に受けている場合は年末調整されませんので、確定申告により所得税及び復興特別所得税を精算することになります。

 

3)「雑損控除」と「災害減免法」の大きな違い

(1)「災害減免法」は、災害による損害のみが対象ですが、「雑損控除」は、災害以外の損害も対象になります。

 

根拠法 適用対象となる損害の範囲
災害減免法 災害による損害
雑損控除 災害および盗難・横領等の損害も対象

 

従って、住宅や家財への被害は、「災害減免法」と「雑損控除」のどちらか有利な方を選択することができます。 

 

なお、盗難や横領による損失は「雑損控除」だけが対象となります。 

また、詐欺や恐喝による損失は残念ながら対象外です。   

 

 

(2)災害減免法の適用は災害の年の1年だけとなるので、損害額が1年で控除できない場合には、最大3年間繰り越しができる雑損控除を選択する方が有利となります。 

 

(3)雑損控除と災害減免法の対比表

                          (税理士法人あたごコンサルティング引用 雑損控除と災害減免法の違い

※1 生活に通常必要でない資産とは、別荘や競走馬、1個又は1組の価額が30万円を超える貴金属、書画、骨とう等をいいます。

※2 資産に生じた損害の金額から保険金や損害賠償金などによって補填される金額を控除した金額をいいます。

 

 

3.住民税の税軽減措置は雑損控除」のみです!

所得税では、軽減措置として「災害減免法」と「雑損控除」の2つの方法がありましたが、住民税には、「災害減免法」の適用はありません。(但し、市町村条例で減免措置を定めるところもあるので確認が必要です。) 

 

従って、所得税の確定申告で「災害減免法」を選択した場合は、住民税では、別途、確定申告前に市区町村で「雑損控除の申告」をする必要があります。 

 

なお、所得税の確定申告で「雑損控除」を選んだ場合は、自動的に住民税に反映されるため別途手続きする必要はありません。 

 

また、県民税では、納税の猶予や納期限延長などの制度もあるので、利用したい場合は確認が必要です。

 

 

4.固定資産税での税軽減措置とは

1)災害等による滅失や損害に対する固定資産の減免措置とは

・所有する固定資産が台風、津波地震、火災などの災害等により滅失又は甚大な被害を受けた場合、その被災の程度(一定程度以上被災していることが要件)に応じて減免されます。 

 

・固定資産税は、減免申請がなされた日以降に到来する納期限に係る分が減免される。 

・火災の場合に対象となるのは、家屋と償却資産のみです。 

・被災の事実を証明する書類(罹災(りさい)証明書等)が必要です。

 

2)震災等により住宅用地が使用ができなくなった固定資産の減免措置とは

震災等により住宅が滅失又は損壊し、住宅用地として使用することができないと認められる場合には、被災した年度の翌年度及び翌々年度について、被災住宅用地として住宅用地と同等の特例措置が適用されることがあります。 

 

 

Ⅱ.災害による減免措置に必要な確定申告書類

確定申告には、 

 

・災害に伴う「罹災証明書」 

・「火災保険などから受け取った保険金関係書類」 

・「災害関連支出の領収書類」 

 

などを取りそろえておくことが必要になります。 

 

また、過去5年間に遡って確定申告できるので、該当される場合は確定申告をおすすめします。

 

なお、還付金等の請求権は、「5年間」行使しないことによって、時効になるので注意が必要です。

 

1.「雑損控除」に必要な確定申告書類

確定申告書に雑損控除に関する事項を記載するとともに、災害等に関連したやむを得ない支出の金額の領収を証する書類を添付する。 

 

なお、損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以後(3年間が限度)に繰り越して、各年の所得金額から控除することができます
(雑損控除は他の所得控除に先だって控除することとなっています。) 

 

また、給与所得者は、給与所得源泉徴収票は、確定申告書への添付または確定申告書を提出する際の提示が不要となりました。

 

2.「災害減免法」適用に必要な確定申告書類

「災害減免法」の適用を受けるためには、確定申告書等に適用を受ける旨、被害の状況及び損害金額を記載して、納税地の所轄税務署長に確定申告書等を提出することが必要です。 

 

 

Ⅲ.最後に

万一、台風や豪雨あるいは地震や火災、水害などで被害に遭われた場合は、確定申告で所得税などで収めた税金の還付が受けられます。 

 

火災保険などと違って、税軽減措置は忘れがち、あるいは、制度そのものをご存じなくて申告せずに終わられる方が多いので注意が必要です。 

 

確定申告は、例年、2月中旬から3月中旬が申告時期ですが、雑損控除などの還付申告は、年初から行えますので早めに申告しましょう。 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

ーーーーーー 完  ーーーーーーー
 

なお、下記の関連記事もご覧いただければ幸いです。

特定口座・源泉徴収での株式等運用も確定申告すれば大抵節税できます!

確定申告には、株式運用に掛かる高い税金を軽減できる仕組みが用意されています!

 

株式等の運用(譲渡益や配当)に掛かる税金は、証券会社で「特定口座で源泉徴収あり」を選択していれば、基本的には、個人で確定申告を行なう必要はありません。 

 

しかし、確定申告すれば大抵の場合、利益を上げた場合でも損をした場合でも、運用にかかる高い税金を節税できるしくみが用意されていますます。 

 

従って、特定口座で源泉徴収を選択されていても、確定申告で節税できる仕組みを知って、機会を逸しないよう確定申告を活用されることをおすすめします。

 

 

 

Ⅰ.確定申告には株式等運用にかかる高い税金を節税できる仕組みが用意されている!

1.株式の売買や配当には約20%もの高い効率が掛けられている

株式等の取引で得た利益や配当・分配金等には、運用者の所得や生活実態に関わらず一律に20.315%所得税15.315%、住民税5%)もの高い税率が掛けられています。 

 

現在の低金利下において、資産運用には株式投資や投信運用に注力せざるを得ない中、一般会社員や年金生活者にとって、20%もの一律税率は非常に重い負担です!

 

課税対象 所得税 住民税
上場株式の利益・配当 15.315%(0.315%は復興税  5% 20.315%

 

2.確定申告には、株式運用税を節税できる「総合課税方式」と「分離課税方式」の仕組みが用意されている

 

確定申告には、株式運用に伴う高い税金が節税できる仕組みとして、「総合課税方式」と「分離課税方式」の2つの課税方式を用意しています。

1)分離課税方式

「分離課税方式」は、「株式売買で被った損失」と「他の利益や配当など」と「損益通算」して利益を圧縮し税軽減ができる仕組みです。

2)「総合課税方式」

「総合課税方式」は、配当を給与等の所得と同扱いとし、給与等と合算した総所得に給与等の所得税率(累進税率)を適用し、さらに、「※配当控除」の税額控除が受けられ、税軽減ができる仕組みです。 

 

配当は、もともと企業が法人税を既に支払った原資であるため、配当受け取り時に税を課すので二重課税となります。

 

このため、給与等と同取り扱いにすれば「配当控除」の適用で二重課税が解消されるというものです。 

 

従って、この2方式のいずれかを利用して税金の節税が図れることになります!

 

3.「特定口座で源泉徴収選択」でも、確定申告をすれば、大きな節税チャンスが得られる!

「特定口座で源泉徴収選択」であっても、証券会社が節税してくれるのは、その年度の「口座内での売買損益と配当との損益通算」のみとなります。 

 

つまり、その年度に赤字が生じた場合、赤字を繰り越して次年度以降の損益通算に利用したくても、証券会社では面倒見てくれずに、自分で確定申告して赤字を繰越控除として登録しなければなりません。 

 

また、複数の証券会社に口座を設けている場合、他口座との損益通算や繰越控除との損益通算、損の繰越などは、証券会社では行ってくれずに自分で確定申告しなければなりません。

 

証券会社が行う特定口座内での節税(売買損益や配当との損益通算)範囲

売買に伴う損と益との損益通算は、口座内であれば、取引ごとに損益通算がなされ、常に通算利益に対する税徴収額に改まります。

配当については、年度末に売買損があれば配当と損益通算され、配当の税徴収額が決定されます。

これらの結果をもって、証券会社が、年初に本人に代わって納税してくれます。

 

従って、次のようなケースは、自分で確定申告しないと、税の軽減を図ることはできません。

 

4)自分で確定申告することで節税できる4つのケース

逆に言うと、以下のケースがあっても、自分で確定申告をしないと、節税効果は受けられず、節税チャンスを放棄してしまうことになります。

(1)年間の損益が損となったが益となった別口座があるケース

⇒分離課税方式を選択し、損益通算で利益を圧縮する 

 

「複数の特定口座を持っていて、配当を含めても損となっている口座がある一方、他口座では配当を含めて利益を出し高い税金が徴収されている。」という場合は、確定申告の分離課税方式を利用することによって、口座間での損益通算が可能となり、利益圧縮により税が軽減ができます。

 

(2)年間損益が損となったが益となった別口座がないケース

⇒分離課税方式を選択し、損を繰り越す 

 

「配当を含めても損となっているが、相殺する相手が無い」という場合には、確定申告の分離課税方式を利用すれば、「繰越控除」として「損」をくり越すができ、以降3年間は、配当を含めた利益と相殺して節税に利用することができます。

 

(3)年間損益が益となったが過去の繰越控除の損があるケース

⇒分離課税方式を選択し、益を過去の繰越控除と損益通算して益を圧縮する 

 

「損益通算しても配当含めて利益が残ったが、過去の「繰越控除」がある」という場合は、確定申告の分離課税方式を利用すれば、過去の繰越控除(損)と損益通算して節税ができます。

 

(4)年間損益が益となり損益通算できる他口座や繰越控除がないケース

⇒総合課税方式を選択し、配当を給与等所得と見做して所得税率を適用し「配当控除」を受ける 

 

「配当含めて利益が出たが、相殺できる損となった他口座や繰越控除がない」という場合は、確定申告で総合課税方式を利用すれば、株取引の損益には一切触れず、「配当」を「給与所得等」と同等の所得と見做して、給与所得等と合算して累進の所得税率が適用され、さらに、「配当控除」という税額控除が受けられます。

 

 

4.特定口座内で対応できない損益通算や繰越控除による節税は、確定申告しないと消滅する!

先ほどご紹介しましたが、年間で利益が出た場合も損となった場合も、確定申告すれば、節税できるケースがほとんどです。 

 

しかし、損益通算や繰越控除等は、その年度において確定申告しなければ、大抵の場合、節税機会は消滅してしまいます。 

 

従って、永年、確定申告されてこなかった場合は、大きな節税チャンスを放棄してきたことになります。 

 

特に、確定申告義務がない会社員や年金者で、「特定口座で源泉徴収選択」の方の多くは、確定申告されていない方が多いのではないでしょうか?大変もったいない話です。

 

 

Ⅱ.総合課税方式と分離課税方式の利用法

確定申告には、節税の仕組みとして、「総合課税方式」と「分離課税方式」の2通りの申告方法があり、実際の申告には、どちらか一方しか選択できません。 

 

なお、以下では、「特定口座で源泉徴収選択」を前提として説明させていただきます。(「一般口座」でも、基本的考え方は変わりません)

 

1.「総合課税方式」のしくみと留意点

1)株取引による損益には一切触れず、配当のみ着目した申告となる
 

つまり、「年間の株取引結果は、大きな利益がでた」、あるいは、「損益通算による還付金メリットよりも総額課税方式による配当控除のメリットの方が大きい」等の場合、配当に限定して節税できる仕組みが「総合課税方式」です。

 

2)税額の計算は、下の算式のようになります

配当を「配当所得」として「給与等の所得」と合算した上で、社会保険料基礎控除等の「所得控除」を差し引いた金額(「課税所得」という)に、その「課税所得」水準に該当する「累進所得税」を乗じて「所得税額」(「確定前の所得税」という)を算出します。 

 

その「確定前の所得税」から「配当控除(配当の10.00%の金額)」が「税額控除」され実負担となる「確定所得税」が算定されます。

 

算式(①→②)

 

①{(給与等の所得+配当所得)- 社会保険等の所得控除累進所得税 =確定前の所得税

確定前の所得税 - 配当控除(配当金額の10%分)   =確定所得税

 

3)総合課税の場合、住民税への影響に留意が必要!

確定申告で総合課税を選択した場合、そのままだと住民税で不利益が生じる場合があります。

 

住民税にも「配当控除制度」があり、住民税に「総合課税方式」が適用されると、配当の「0.28%」が「配当控除」となり、実際に配当受け取り時に納めた「5%」よりも低い控除しか受けられなくなる不利益が生じます。 

 

このため、昨年までは、この不利益が排除できる「住民税申告不要制度」がありましたが、今年度より廃止され、確定申告と同じ課税方式を適用されることになりました。 

 

従って、確定申告で「総合課税方式」を選択される場合は、住民税への影響に注意が必要になります!

 

2.「分離課税方式」のしくみと留意点

1)株取引の損益や配当収入に焦点を絞り、「損益通算」や「繰越控除との相殺」などで節税が図れる仕組みとなります

つまり、「年間の株取引の結果、配当を含めても大きなマイナス(赤字)だった」、あるいは、「総額課税方式による配当控除のメリットよりも、損益通算による節税メリットの方が大きい」等の場合、配当を含む売買損益に限定して損益通算による利益圧縮で節税できる仕組みが「分離課税方式」です。

 

2)申告は、今年度の損益(含む配当)結果に基づいて、次の3つのケースがあれば損益通算を行い利益圧縮効果を出す

(1)他の口座があれば、他の口座と損益通算して利益(含む配当)を圧縮する 

(2)他の口座等で損益通算しても損が残る場合、損を繰越して翌年以降の損益通算に使う (3)過去の繰越損があれば、それと相殺して本年の利益(含む配当)を圧縮する

 

3)分離課税方式により過去の繰越控除と損益通算した場合、介護保険では繰越控除が反映されないので注意が必要!

確定申告で、「今年度の利益(含む配当)」と「過去の繰越控除」とを損益通算した場合、介護保険料算定においては、過去の繰越控除が反映されずに、今年度の利益のみが所得とみなされて算定基礎に算入され保険料に跳ね返る恐れがあります。 

 

従って、その場合、損益通算メリットと比較して損益通算すべきか、あるいは、住民税において、「住民税申告不要制度」使うべきかは検討が必要となります!

 

3.総合課税方式と分離課税方式の対比表

以上をまとめて対比表にすると次のようになる。

 

  税軽減の方法 節税の仕組みと選択理由
総合課税方式 「累進所得税率」の適用と 「配当控除」による税額控除 株取引結果には一切触れず、配当を「給与等所得」に合算して所得税を算出した後、配当額の10.28%が「配当控除」として税額控除される。

選択理由:株取引で利益が出ていて、損益通算や繰越控除の必要がない場合、又は、所得税率と配当控除メリットの方が大きい場合
分離課税方式 「損益通算」による利益圧縮 ◯給与や年金その他の所得とは関わりなく、株取引で生じた損益による「損益通算」や「繰越控除等の相殺」等による利益圧縮で税が軽減される。

選択理由:配当控除メリットよりも「損益通算メリット」が大きい場合。

 

 

Ⅲ.最後に

株式運用では、利益及び配当に対し一律に20%(所得税15%、住民税5%)もの高い税金が掛けられていますが、確定申告では、損益通算により利益圧縮して節税できる分離課税方式と、配当を給与等と合算して給与等の累進所得税率を適用して節税できる総合課税方式が用意されています。 

 

特定口座で源泉徴収有りで運用されていてもこれらの節税効果を得るためには確定申告が必要となります。 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

ーーーーーーー 完 ーーーーーー

 

関連記事

確定申告で株取引等の利益や配当にかかる高い税金を節税する申告方法

確定申告には株式等運用にかかる高い税金を取り戻せる仕組みが用意されています!

 

株式等証券投資には利益や配当に一律に20.315%所得税15.32%、住民税5%)の高い税金が掛かりますが、確定申告には、総合課税方式や分離課税方式の選択より、損益通算や配当控除などの節税できる仕組みが用意されています。 

 

このため、株式等の運用者は、節税のための確定申告の仕方を是非頭において置かれることをおすすめします。

 

 

 

 

Ⅰ.確定申告には株式等運用にかかる高い税金を取り戻す仕組みが用意されている

 

1.株式の譲渡益や配当には約20%の高い税率がかけられている

株式等の取引で得た利益や配当には、運用者の所得や生活実態に関わらず一律に20.315%(所得税15.315%、住民税5%)もの高い税率が掛けられています。

 

課税対象 所得税 住民税
上場株式の 利益・配当 15.315%(0.315%は復興税  5% 20.315%

 

2.確定申告には、赤字の場合も黒字の場合も節税できる仕組みが用意されている

 

確定申告では、売買で被った損失と利益や配当などと損益通算して税の軽減ができる『分離課税方式』の仕組みと、給与等の所得に対する「配当控除」の利用により所得水準に見合った税軽減ができる『総合課税方式』の仕組みが用意されており、何れかを選択することにより、株式運用にかかる高い税金を軽減できる配慮がなされています。

 

仕組み 税負担の軽減方法
分離課税方式 損失と利益や配当などと損益通算して税軽減ができる方法
総合課税方式 「配当控除」より所得水準に見合った所得税率で税軽減ができる方法

 

  なお、以下の記述では、全て「特定口座で源泉徴収選択」を前提とした取引を想定しています。一般口座でも基本的な考え方は変わりません)

 

1)「売買損が大きく配当を含めても赤字の場合」の確定申告による節税方法

年間取引では大きな損となっており、年間配当所得を差し引いても大きな赤字が残った場合は、次のような確定申告によって節税が図れます。 

 

①他の証券会社に持つ特定口座が利益又は配当で黒字となっている場合、分離課税の選択により損益通算で利益を圧縮し税金を節税することができる。 

 

②それでも損が残れば、その損を確定申告で「繰越控除」(損を繰越、将来の益と相殺できる)として登録をすれば、次年度以降の3年間、その繰越損が消えるまで、益又は配当所得と相殺して、税金を抑えることができる。

 

2)「売買で益となり配当を含めて黒字の場合」の確定申告による節税方法

年間で、売買益と配当で大きな黒字となった場合、次のような確定申告によって節税が図れます。 

 

①他の証券会社に持つ特定口座が配当含めて赤字となっている場合、分離課税の選択により損益通算で利益を圧縮し税金を節税することができる。 

 

②過去の繰越控除があれば、分離課税の選択により損益通算で黒字を圧縮し税金を節税することができる。 

 

➂損益通算できるものがない場合は、総合課税方式の選択により、所得税率と「配当控除」の利用による所得水準に見合った税負担に軽減するこよができる。

 

3.株式投資の節税機会は確定申告しないと消滅する!

株式投資の損益通算や繰越控除等は、その年度年度に確定申告しないと節税機会が消滅してしまいます。 

 

一般の個人投資家は、大抵の場合、証券会社に「特定口座」を設け源泉分離課税を選択されています。 

 

この場合、株式運用に伴う取引や配当の履歴並びにそれに伴い納税業務一切を証券会社が代行してくれるので個人は基本的に確定申告の必要はありません。 

 

このため、個人投資家の方、特に、確定申告の義務がないサラリーマンや年金生活者の方は、あまり確定申告をされていないのではないでしょうか? 

 

従って、大変もったいない話ですが、大勢の方が、大きな税軽減チャンスを放棄していることになっています。 

 

確定申告は、各年度の都度行わないと権利が消滅します。 

 

是非、e-taxを利用して税軽減チャンスを逃さないようにしたいものです!

 

4.確定申告は住民税への影響を考慮する必要があります!

所得税法と住民税法とでは株取引の取り扱いに差があることに注意が必要です。 

 

株式等の利益や配当所得の取り扱いは、所得税と住民税とでは若干捉え方に差があり、確定申告すると住民税の負担増を招く場合があります。 

 

住民税は、あくまでも応分の地域行政負担を求めるところがあり、特に、介護保険では、過去の繰越控除との相殺を認めないところがありますので注意が必要です、

 

注:確定申告(所得税)と異なる住民税の課税方式の選択が廃止された!

節税の為の確定申告がし易いように平成29年度税制改正で、住民税では「所得税と異なる課税方式」が選べることになりましたが、令和4年度税制改正で、再び、所得税と住民税の課税方式を一致させる改正が行われました。

このため、令和5年分からは、所得税と住民税で異なる課税方式を選択することはできなくなりました。

従って、確定申告の課税方式選択は、住民税への影響を考慮して選択しないとトータルでメリットが損なわれることがあるので注意が必要です!

 

Ⅱ.総合課税方式と分離課税方式の仕組み

以下では、株式の運用を、「特定口座」かつ「源泉徴収」を選択していることを前提とさせていただきます。(一般口座でも、基本的考え方は変わりません)

 

1.株式運用に伴う申告は「総合課税方式」と「分離課税方式」のいずれかのみ

株式運用に伴う確定申告方法には、「総合課税方式」と「分離課税方式」の2通りの申告方法があり、確定申告は、どちらか一方しか選択できません。

 

2.「総合課税方式」とは

株式取引ににかかる税金については、

 

「給与や年金所得が低いのに、株取引による利益や配当への20%課税は高すぎる。 売買で得た利益に対する20%(住民税5%含む)はやむを得ないとしても、配当所得に課せられた20%税率(住民税5%含む)については総所得に見合った税率あるいは税額であってほしい」

 

と思われる方は多いのではないでしょうか? 

 

こういう願いに適うのが、「総合課税方式」です。 

 

「総合課税方式」とは、配当所得を給与所得等に合算し総所得に見合う給与等に関わる所得税率(累進5~55%)を適用し、「配当控除」を税額控除するという仕組みです。 

 

※もともと配当は、企業が法人税を納めた後の原資であるため、配当で個人に取得税をかけるのは二重課税ともなっています。

 

このため、配当を所得として給与等に合算し、所得水準に見合う所得税率(累進課税を適用する代わりに、「配当控除」により二重課税を避けるという主旨があります。 

 

以上より、株運用に伴う確定申告での「総合課税方式」とは、以下のように整理できます。

 

1)総合課税方式は株取引の損益には触れず、配当を給与等所得と見做し所得税率を適用し「配当控除」を受ける仕組み

つまり、「年間の株取引で大きな利益がでた」、あるいは、「損益通算による還付金メリットよりも総額課税方式によるメリットの方が大きい」等の場合、に利用できる仕組みが、「総合課税方式」です。

 

2)税額の計算方法

配当を「配当所得」として「給与等の所得」と合算した上で、社会保険料基礎控除等の「所得控除」を差し引いた金額(「課税所得」という)に、その「課税所得」水準に該当する「累進所得税率」を乗じて「所得税額」(「確定前の所得税」という)を算出します。 

 

その「確定前の所得税」から「配当控除(配当の10.00%の金額)」が「税額控除」され実負担となる「確定所得税」が算定されます。

 

算式(イ→ロ)
イ. {(給与等の所得+配当所得)- 社会保険等の所得控除}×累進所得税率=確定前の所得税

 ロ. 確定前の所得税 - 配当控除(配当金額の10%分)=確定所得税

 

なお、総合課税方式のしくみや給与所得によるメリットの違い、具体的数字を使った事例等については後述します。

 

3)総合課税方式では住民税への影響に留意が必要

確定申告で総合課税を選択した場合、そのままだと住民税で不利益が生じる場合があります。

 

住民税にも「配当控除制度」があり、住民税も「総合課税方式」が適用されると、配当の「0.28%」が「配当控除」となり、実際に配当受け取り時に納めた「5%」よりも低い控除しか受けられなくなる不利益が生じます。 

 

従って、住民税で不利益も考慮して総合課税の選択を決定する必要があります。

 

 

3.「分離課税方式」とは

1)分離課税方式は、給与所得や配当控除に関わりなく、株取引損益や配当収入に絞った申告で、「損益通算」や「繰越控除との相殺」などの利益圧縮で節税が図れる仕組み

つまり、「年間の株取引の損益結果、配当を含めても大きなマイナス(赤字)だった」、あるいは、「総額課税方式によるメリットよりも、損益通算による節税メリットの方が大きい」等の場合、配当を含む損益に限定して損益通算の利益圧縮で節税できる仕組みが「分離課税方式」です。

 

2)申告は、「今年度の損益と配当収入の結果」に基づいて、以下のような損益通算による利益圧縮効果を算出する

(1)「他の口座と損益通算して譲渡所得(含む配当所得)を下げる」
(2)「他の口座等で損益通算しても損が残る場合は、損を繰越して翌年以降の譲渡所得(含む配当所得)を下げる」
(3)「過去の繰越損と相殺して本年の譲渡所得(含む配当所得)を下げる」
 

なお、分離課税方式のしくみや取引状況によるメリットの違い、具体的数字を使った事例等については後述します。

 

4.総合課税方式と分離課税方式の対比

以上をまとめて対比表にすると次のようになる。

 

  税軽減の方法 節税の仕組みと方式を選択する理由
総合課税方式 「累進所得税率」の適用と 「配当控除」による税額控除 株取引結果には一切触れず、配当を「給与等所得」に合算して所得税を算出した後、配当額の10.28%が「配当控除」として税額控除される。

選択理由:株取引で利益が出ていて、損益通算や繰越控除の必要がない場合、又は、所得税率と配当控除メリットの方が大きい場合
分離課税方式 「損益通算」による利益圧縮 ◯給与や年金その他の所得とは関わりなく、株取引で生じた損益による「損益通算」や「繰越控除等の相殺」等による利益圧縮で税が軽減される。

選択理由:配当控除メリットよりも損益通算メリットが大きい場合。

 

Ⅲ.株等運用の状況に対応した確定申告の仕方

1.課税方式の選択は、株等の運用成績に絞るか、配当のみに絞るかで決まる

どちらの課税方式を選ぶかは、本年度の運用結果や過去の繰越控除の有無等に絞って申告するか、配当所得のみに絞って節税したいかの目的によって決まります。

 

目的(どうしたいか?) 選ぶ課税方式
・一部の口座で損失があるため、税金を払っている別の口座と損益通算して別の口座の所得(利益、配当)を減らして還付を受けたい! 分離課税
・利益(含む配当)を、過去の「繰越控除」で相殺して減らしたい! 分離課税
・損益通算しても損が残るので損を繰越し、次年度以降の利益相殺に使いたい! 分離課税
・どの口座にも損がなく、かつ過去の繰越控除もないので損益通算メリットが享受できない。この為、配当控除メリットを受けたい! 総合課税
・計算結果から、分離課税よりも総合課税メリットの方が大きい 総合課税
・計算結果から、配当控除よりも分離課税メリットの方が大きい 分離課税

 

※分離課税でのメリットとは、損益通算などで利益(所得)を減らしたことによる減税メリットのことです。

 

2.総合課税方式は課税所得9百万円以下にメリット

「総合課税方式」は、「配当」を「給与等所得」と同取り扱いとし、給与水準に見合った累進所得税率を適用するため、単純に言うと、5%の所得税率の人であれば、配当にかかった15%(他に住民税5%)が5%で済むことになります。

 

そこに、さらに「配当控除」(配当の10%)が税額控除メリットが付加され大きな節税につながります。 

 

従って、所得税率の低い人ほどメリットは高いものとなります。

 

1)「総合課税方式」の課税所得別のメリット表

では、実際に数字を使ってメリットを表してみます。 

 

表で使われている各用語の意味は次の通りです。 

 

・「課税所得」は、「給与等所得+配当所得」 

・「所得税」は、課税所得額(給与等所得+配当所得)に対応した累進課税 

・「配当控除率」は、配当控除額の算定に用いられる率。1000万円までは10%、1800万円までは5%、1800万以上は0%を配当所得に乗じて配当控除額をだします。 

・「実質負担率」は、所得税率が、配当控除率分で負担減になった実質負担率を表す 

・「源泉徴収」は、配当で源泉徴収された税率を表す 

・「軽減税率」は、配当控除により源泉徴収された税率がいくら軽くなるかを示す率! 

 

これらを、数式を使って、分解しますと、結局、配当には累進税率ー10%の税率でよいことになり、既に支払った15%の源泉徴収は、その分還付されることになります。

 

 

[課税所得別軽減税率メリット]

 

課税所得 所得‐所得控除 所得税累進税率 配当控除率 配当に乗じる 実質負担税率 源泉徴収税率 既に徴収済み 軽減税率 還付率
  (A) (B) (C)=A-B (D) C-D
195万円以下 5% ▲10% 0% 15% ▲15%
330万円以下 10% ▲10% 0% 15% ▲15%
695万円以下 20% ▲10% 10% 15% ▲5%
900万円以下 23% ▲10% 13% 15% ▲2%
1000万円以下 33% ▲10% 23% 15% 8%追徴
1800万円以下 33% ▲5% 28% 15% 13%追徴

 

源泉徴収税率には復興特別所得税0.315%がありますが省略しました。 

また、「配当控除額」は、住民税分を含めると配当所得の10.28%となりますが、ここは、所得税分のみです。

なお、投信等の元本取り崩しによる分配金の場合の「配当控除額」は、低くなります。

結 論:課税所得900万円以下で低所得ほどメリット大!

 

・給料や年金、その他所得等に配当を含めた「課税所得」が900万円以上の場合はメリットがないが、695万円以下の人にメリット(税軽減)が得られる。

・695万円以下でも、合算所得が低いほどメリットが大きく、かつ配当所得の比率が高いほどメリットが大きくなる。

 

結局、下表のように数式を紐解けば、「総合課税方式」で申告すれば、配当は、「累進税率ー10%」の税率でよいことになり、既に支払った15%の源泉徴収税は、その分が還付されることになります。

 

◯確定申告前の支払い税金(給与等所得)×累進税率+配当所得×15%
◯総合課税後の税金額(給与等所得×累進税率A)+(配当所得×累進税率A)ー(配当所得×10%B)

ここで累進税率は、上表の「課税所得別軽減税率メリット」からわかるように、所得に200万円以上の増加がなければ変動しないので、配当が加算されても累進税率は影響しません。

結局は、次の通りとなります。

(給与等所得×累進税率)+(配当所得×累進税率)ー(配当所得×10%B)
◯配当加算が税金に影響する部分は、次の式となります。
(配当所得×累進税率)ー(配当所得×10%B)

この式をまとめると配当所得×(累進税率ー10%)になり、結局、配当に掛かる税率は、「累進税率から配当控除率10%を差し引いた税率」で良いことになります

従って、配当受取り時に徴収された15%の所得税(他に5%の住民税)は、確定申告により、払い過ぎた分が還付されることになります。

 

2)「総合課税方式」による「還付金額」の算出事例

 

 

年収収入310万円と配当収入90万円の年金所得者の事例
年金収入が310万円、配当収入が90万円で、税金は、年金の所得税6.6万円、株式配当所得税13.8万円で合計20.4万円徴収されています。

なお、
社会保険料控除額等所得控除額額は、130万円であった。(源泉徴収ありの特定口座)

 

「還付金額の算出」

 

年金収入310万円は「年金所得190万円」となり、「配当所得90万円」と合せた「合計所得は280万円」となります。
ここから社会保険等の「所得控除額額」130万円を差し引くと、「課税所得」は、150万円(280∸130)となります。

所得税は、7.5万円(150万円×得税率5%)
ここから配当控除額9万円(配当90万円×配当控除率10%)が税額控除されます。
従って、「確定所得税」は、7.5万円ー9万円から「-2万円」となりますが、国から税金を徴収するわけにはいかないので「0円」となり、つまり税の納入は不要となります。

これらの結果、源泉徴収された所得税「20.4万円」が「0」で良いことになるので「20.4万円」の還付金を受けることになります

 

これを表を使って表すと下表のようになりますの単位 万円

 

  収入 所得 所得控除 課税所得 確定課税 配当控除 申告課税 源泉徴収 還付
年金 310 190 130 60 5.0%       6.6  
配当 90 90   90 15.3%       13.784  
合計   400 280 130 150 5.0% 7.5 9.0 -1.5 20.384 20.384

 

[表の説明] 

 

 

年金と配当所得の合計280万円(①)から所得控除130万円(②)を差し引いて課税所得150万円(③)を求め、所得税率(課税所得額ランク別Ⅰ表)の5%(④)を乗じて課税額7.5万円(⑤)を確定します。 

 

そして、この税額から配当控除額(配当90万円×10%=⑥9万円)を税額控除し申告する課税額(⑦‐1.5万円)が確定します。

 

ここでは「‐1.5万円」となっていますが、税金を徴収するわけにはいきませんので「0」とカウントされます。 

 

そして「税金が0でいいにも関わらず源泉徴収された所得税が、年金分と配当分合わせて「⑧20.384万円」ありますので、これが還付の対象となり「⑨還付金20万円」が還付されます。」

 

3)「総合課税方式」による確定申告の場合は住民税への影響を考える必要がある!

○注意!住民税でも総合課税方式で配当控除を受けると負担増に繋がる可能性が大になります。 

 

下表の通り、住民税率は「10%」であることから、住民税の配当控除「2.8%」の適用を受けても、実質「7.2%」の税率となり、配当で源泉徴収された「5%」よりかえって負担増となります。 

 

[Ⅱ表 住民税:課税所得額ランク別に見た配当控除の減税効果]

課税所得金額 住民税率 配当控除率 実質の負担税率 源泉徴収税率 税軽減効果
(A) (B) (C)=A-B (D) C-D
1000万円以下 10% 2.8% 7.2% 5% 2.2%追徴

 

さらに、配当込みの課税所得が、次年度の住民税算定基礎(所得割)に適用され負担増になります。(住民税は昨年度の所得を基礎にするため) 

 

 

その上、住民税の課税所得を基準とする国民健康保険料、介護保険料、児童手当等の負担増にも繋がりかねません。 

 

従って、確定申告で「総合課税方式」を選択し何もしなければ、住民税では、確定申告の内容がそのまま適用されます。 

 

先程の事例で住民税でも総合課税だと下表のようになります。

 

(金額の単位 万円)

  収入 所得 所得控除 課税対象所得 税率 確定課税額 配当控除額 申告課税額 源泉徴収税額 追徴金
年金 310 190 117 73 10.0%       7.3  
配当 90 90   90 5.0%       4.5  
合計 400 280 117 163 10.0% 16.3 2.5 13.8 11.8 2.0

 

年金と配当所得の合計280万円(①)から、所得控除117万円(②)を差し引いて課税対象所得163万円(③)を求め、住民税率の10%(④)を乗じて課税額16.3万円(⑤)を確定します。 

 

 

この税額から配当控除額2.5万円(⑥配当90万円×2.8%)を税額控除し、申告する課税額13.8万円(⑦)が確定します。 

 

しかし、源泉徴収された住民税が、年金分と配当分合わせて11.8万円(⑧)なので、申告の課税額13.8万円(⑦)に対し2.0万円(⑨)の不足が生じ、追徴されることになります。

 

3.「分離課税方式」は、損が大きいほどメリットが大きい

分離課税方式は、配当控除には一切触れず、又、給与や年金その他の所得とは関わりなく、株式等の譲渡所得や配当に限定し、売買で生じた損失を活用して「損益通算や繰越控除」等により税軽減を図ることができる仕組みです。 

 

分離課税方式では、当然ですが、譲渡所得や譲渡損失、配当所得の大きさによって還付金の大きさが変わりますので、損や益がが出たから分離課税が有利だとは一概に言えません。 

 

あくまでも両方式を試算した上で、かつ、住民税などへの影響も踏まえて判断されることをことが必要です。

 

1)損や繰越控除が大きいほど税軽減(還付)効果が大きい!

分離課税方式では、一つの口座で損が大きく出た場合や、過去の繰越控除(損の繰越)額が大きいほど、利益と相殺できる額が大きくなる為、節税メリットが大きくなります。 

 

損が大きすぎて相殺できる利益が足りなければ、損を繰越し翌年以降の利益を相殺できる権利が得られます。 

 

従って、損が大きければ大きいほど、分離課税選択のメリットは大きいと言えます。

 

2)株式運用の状況別に「分離課税方式」による節税効果の算出事例

数字の大きさにより税軽減効果がどう変わるか、総合課税方式と比較できるように表にしました。 

 

簡単にいうと、損益通算や相殺によって得られる税軽減額は、「損×15.315%」となります。(もちろん損失額以上に益(含む配当)があることが必要です) 

 

なお、総合課税方式との比較は、前述した年金者モデル(年金収入が310万円、配当収入が90万円)の「所得税の還付金20万円」との対比でみます。

 

①「損が出たので別口座の益と損益通算して税を軽減したい」

複数の「源泉徴収ありの特定口座」を持っていて、一部口座で損(配当を含めても)となったので、益となった別口座と「損益通算」して税還付を受けるのが目的です。 

 

この場合、あくまでも損に見合う口座を選んでその口座の益を減らせば良いので、すべての口座を取り上げる必要はありませんので、ご注意! 

 

◯2つ証券会社(A社、B社)で特定口座を持っていて、それぞれの口座の年間取引結果が下記のケースを想定。

 

口座名 損益と配当収入及び支払った所得税合計額
A口座 利益400万円と配当45万円で益合計445万円、源泉徴収68万円
B口座 損失300万円と配当45万円で損合計255万円、源泉徴収は 0円

A口座では、所得合計が445万円(400+45)で所得税68万円が源泉徴収されている。
B口座では、損合計が-255万円(-300+45)で所得税0で納めていない。


この二つの口座を合計して損益通算すると、A口座とB口座を合わせた所得合計は190万円(245-55)であり、これに株取引所得税15.32%を乗じると29万円となります。

従って、実際に負担すべき所得税29万円でいいにもかかわらず既に68万円を納付しているので、39万円(68-29)が軽減され還付されることになります。

 

ここでは、損失を超える利益(含む配当)がある場合を想定しましたが、利益が足りなければ損は翌年以降にこち越せます。(「繰越控除」)

 

②「益となったので過去の繰越損と相殺して税を軽減したい」

過去の確定申告で繰越控除(3年間を限度として損を繰り越せる制度)の申告をしている場合に、本年度の利益(含む配当)と相殺して、本年度の利益を圧縮して税の還付が受けられます。 

あくまでも繰越損に見合う口座を選んでその口座の益を減らせば良いので、すべての口座を取り上げる必要はありません。

 

<事例>

本年度収益は、利益400万円と配当90万円の合計が490万円となり所得税75万円が源泉徴収されている。
繰越控除には有効分(3年以内)110万円があるので、これと損益通算すると、本年の収益は、380万円(490-110)に圧縮でき、これに本来の所得税率15.32%を乗じると納めるべき税金は、58万円でいいことになる。
従って、既に源泉徴収された75万円から17万円(75-58)が税軽減分として還付されることになります。
 
➂「繰越控除や損益通算しても損が残ったので、損を繰越したい」

シミレーションは省略します。

 

3)住民税への影響を勘案した対策が必要

なお、確定申告を分離課税方式で申告し、そのままにしておくと、株に掛けられた住民税5%分の還付も受けられます。 

 

しかし、次年度の住民税の算定基礎に、損益通算後の株式所得(譲渡損益+配当)が含まれるので、益が大きく残ると住民税の負担が大きくなる可能性があるので注意が必要です。 

 

くれぐれも、口座間で損益通算する場合は、益が大きく残らないよう益の小さい口座との損益通算に限定して申告しましょう。 

 

結局は、住民税については、還付金の大きさと住民税等への負担増の大きさ等の比較から判断しなければならないところがあります。

 

Ⅳ.最後に

その年の株式取引の売買損益と配当の状況、及び過去の繰越控除のあるなしによって、分離課税方式あるいは総合課税方式の選択によって、株式取引での高い税金を節税することができます。

 

従って、株式投資をされる方は、毎年の確定申告を大いに活用されることをおすすめします。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

ーーーーーー 完  ーーーーーー

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しかし、住宅リフォームで税の軽減措置を受けるには確定申告が必要です。 

 

過去5年以内にリフォームされた方は、軽減措置対象に該当するかどうかを知って確定申告されることをおすすめします!

 

 

 

Ⅰ.住宅リフォームで受けられる税制優遇制度

住宅リフォームは景気振興の一環となるため、住宅をリフォームした場合、工事内容や住宅要件を満たしていれば、以下のような各種税制で優遇措置が受けられます!

 

対象税制 優遇措置適用の要件概略
1.所得税 住宅をローンや自己資金でリフォームをした場合、工事内容や住宅要件を満たしていれば、確定申告で所得税の控除を受けることができる
2.固定資産税 耐震、省エネ等の工事に50万円以上をかけてリフォームした場合、確定申告で1年間に限り固定資産税の二分の一又は三分の一が減額措置が受けられる
3.贈与税 リフォームのために父母や祖父母から資金の贈与を受けた場合、確定申告で一定額まで贈与税がかからない非課税措置の適用が受けられる場合があります

 

 

以下、それぞれの税制での税制優遇措置の内容をご紹介します。

 

1.住宅リフォームの所得税減税措置

住宅リフォームに適用される所得税の減税は、「ローン負担軽減の為のローン減税」と、ローンに関係なく「省エネ等推進の為に支援する省エネ等推進目的別の投資型減税」とに区分されます。

 

減税目的 減税制度
1)ローン負担軽減の為の
 「ローン減税」
10年以上融資対象の「住宅ローン減税」
5年以上融資対象の「ローン型減税」
2)省エネ等推進目的の
「投資型減税」
省エネのための「投資型減税」

 

なお、リフォームの種類や内容により、利用できる制度が違いますが、併用できる場合もあります。

 

1)ローン負担軽減の為の「ローン減税」

ローン減税は、融資期間の長さによって、①10年以上融資対象の「住宅ローン減税」と②5年以上融資対象の「ローン型減税」(特定増改築住宅借入金等特別控除)があります。

 

「住宅ローン減税」

「住宅ローン減税」は、10年以上のローンを利用した場合に適用されます。 

 

住宅ローンを利用して、「増築」や「省エネ」、「バリアフリー」など、100万円を超えるリフォーム工事をした場合に対象になります。 

 

なお、新築住宅の取得に対するローンの場合、令和4年度税制改正により、控除率は1%から0.7%に引き下げられ、控除期間は最長10年から最長13年へと延長されました

 

制度名 住宅ローン減税」(住宅課借入金特別控除)
対象者 返済期間10年以上のローンを借りてリフォームをした者
半分は自分の居住用である住宅
本人の所得3千万円以下
要件 ・増改築、一室の修繕、耐震補強、バリアフリー、省エネなどの改修工事など一切リフォームする住宅の専有面積が「50平米以上」
補助金等を除いたリフォーム費用が「100万円以上」 などの条件がある。
減税の内容 10年間に亘り、年度末のローン残額(限度額4000万円)の1%分(令和4年度税制改正により1%から0.7%に引き下げられた)が「10年間」所得税から控除される。
但し、年間控除額は最高40万円(認定優良住宅50万円)、10年間で最大400万円(認定優良住宅500万円)が限度
なお、2019年10月1日以降(消費税率10%)のリフォームは、控除期間は13年。
・控除しきれない場合は、翌年の住民税から13万6500円を上限に控除。
・初年度に確定申告していれば、2年目以降は年末調整で可能。

 

なお、住宅ローン減税は、令和6年度税制改正において、制度内容が一部下記のような内容に変更されています。(詳しくはこちら 

 

※住宅リフォームの税制の手引き ※国交省「住宅ローン減税」

 

②「ローン型減税」(特定増改築住宅借入金等特別控除)

「ローン型減税」(特定増改築住宅借入金等特別控除)は、5年以上の住宅ローンを利用した場合に適用されます。 

 

5年以上の住宅ローンを利用して、バリアフリー工事や省エネのための断熱工事、同居対応・長期優良住宅化リフォームをした場合等の特定の増改築住宅借入金等に対し、リフォーム工事の内容別に費用の2%又は1%の所得税の特別控除が受けられます。

 

制度名 「ローン型減税」(特定増改築住宅借入金等特別控除)
対象者 返済期間5年以上のローンを借りてリフォームをした者
要件 バリアフリー」「省エネ」「同居対応」「長期優良住宅化」の一定要件(工事内容や住宅要件)を満たすこと
減税の内容 下記の(1)(2)の合計額または「控除限度額」のいずれか少ない額が、改修後から「5年間」、所得税から控除される。
但し、年間最大控除額は12万5000円、5年間で最大62万5000円になります。
また、各年の所得税額より控除額が多い場合は、所得税額が上限となる。
(1)年末のローン残高のうち、対象リフォームであるバリアフリー・省エネ・同居対応・長期優良住宅化リフォーム工事費用(限度額250万円/補助金を除く)分の2%
(2)ローンのうち、対象リフォーム以外の工事費用相当分(限度額は(1)と合わせて1000万円)の「年末ローン残高の1%」
補足 併せて耐震リフォームを行う場合は「投資型減税」との併用ができる。

 

2)エネ等推進目的別の「投資型減税」

住宅ローンを利用していなくても、所得税の控除が受けられる制度です。 

 

耐震、バリアフリー、省エネ、同居対応、長期優良住宅化等のリフォームをした場合、確定申告によって1年間、工事費等の10%所得税から控除されます。 

 

控除対象限度額があって、リフォーム内容で異なります。

 

制度名 「投資型減税」
対象者 住宅ローンの利用有無に関わらず適用
要件 「耐震」「バリアフリー」「省エネ」「同居対応」「長期優良住宅化(耐久性向上)」の一定要件を満たすリフォームであること。
耐震とバリアフリーの両方を行う場合など、制度の併用ができるものもある。
減税の内容 標準的な工事費用相当額(補助金等を除く)の10%、または「控除限度額(下記)」のいずれか少ない額が1年間控除される。ただし、所得税額より控除額が多い場合は所得税額が上限となる。
控除限度額は、リフォーム内容によって異なります。
・耐震、省エネ、同居対応、耐久性向上の場合、25万円(省エネリフォームで太陽光発電装置を設置する場合は35万円)
バリアフリーリフォームの場合、20万円
これらリフォームにあわせて太陽光発電システムを設置したり、内容が異なるリフォームを一緒に行った場合には、控除対象限度額が上がるものもあります。

 

2.住宅リフォームの固定資産税減税措置

耐震、省エネ、バリアフリーの為のリフォームについて次の様な基準で、次年度の固定資産税の減額を受けられます。

 

種 別 要件 固定資産税の減税額
耐震
リフォーム
昭和57年1月1日以前に建てられた建物(戸建て・マンション・アパート含む)で工事費用が50万円以上の新耐震基準に適合する工事であること 翌年分の固定資産税の2分の1を1年間減額(指定道路沿い住宅は2年間)
省エネ
リフォーム
平成20年1月1日以前に建てられた自家で省エネリフォーム工事費用が50万円を超えていること 翌年分の固定資産税の3分の1を1年間減額
バリアフリー
リフォーム
・次のいずれかの方が居住していること
①65歳以上の方
②要介護または要支援の認定を受けている方
③障害がある方
・築年数が10年以上経過しており、リフォーム後の床面積が50平方メートル以上であること
バリアリフリーが次のいずれかに該当すること通路などの幅を広げる、階段の勾配を緩やかにする、浴室・トイレ・出入り口などの改良、手すりを取り付ける、段差をなくす、滑りにくい床材に変えるなど
翌年分の固定資産税の3分の1(ただし1 00平方メートルまでに限る)

(補足) 

固定資産税は、土地や建物等の評価額によって決まります。 

地域や建物の構造、設備などで異なりますが、戸建ての平均は年額10~12万円程度と言われるので、二分の一であれば5万円程の減額となります。

 

3.住宅リフォームの贈与税非課税措置

リフォームのため、父母や祖父母から資金贈与を受けた場合、一定額まで贈与税がかからない非課税措置が設けられています。 

 

●支援対象:住宅取得費用の贈与を受けて行う省エネ性能等に優れた住宅の新築、および、住宅取得等費用の贈与を受けて行う省エネ性能等を有する住宅への改修工事 

 

●内容:一般住宅に比べ、非課税限度額を500万円加算

 

[贈与税の非課税額]

この措置には期限がありますので、利用される場合は、財務省のホームページの最新情報確認が必要です。 

 

なお、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置は、令和6年度税制改正において、適用期限が3年間延長されることとなりました。(詳しくはこちら

 

 

Ⅱ.リフォームの減税適用には確定申告が必要

以上の住宅リフォームによる税優遇措置を受けるためには、確定申告が必要になります。 また、これら減税優遇措置を受けるためには、各優遇制度利用に必要な書類を取りそろえた上で確定申告をする必要があります。 

 

確定申告に添付しなければならない必要な書類は、各優遇措置制度によって異なりますので各制度をご覧願います。 

 

なお、煩わしいと考えられがちな確定申告は、e-Taxを使えばパソコンやスマホで家にいながら税務署への申告手続きが完了できます。

 

e-Taxを使ってPCで簡単に確定申告を!

e-Taxを使って、パソコンやスマホで確定申告をする為に必要な事前準備と作成手順は、次の記事をご参考に願います。

 

◎「記事を次の『パソコンでe-taxを使って確定申告する際に必要な事前準備と作成手順』

◎「PCやスマホからe-taxで確定申告する為に必要な事前準備と利用方法

 

なお、パソコンでe-taxで確定申告をする際、マイナンバーカードで認証を受ける為には、マイナンバーカードに対応しているICカードリーダーか、読み取りに適したスマホが必要になります。 

 

簡単に読み取りができるICカードリーダーは、マイナンバーカード対応製品である必要があります。(対応は、「公的個人認証サービス」のポータルサイトで確認できます)

◎おすすめカードリーダー

 

ローン会社からの説明を受けるで住宅購入時と違って、リフォームの場合、減税措置を知らずに確定申告をしない人が多いと聞きます。 

 

住宅リフォームも確定申告で所得税(含む住民税)や固定資産税、贈与税などの各種の税制優遇制度が受けられます。 

 

是非、優遇措置を知って確定申告で住宅リフォームによる税の節減を確実にしましょう! 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

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